2009年5月15日金曜日

第24回放送倫理検証委員会議事概要を読む

第24回放送倫理検証委員会議事概要 http://www.bpo.gr.jp/kensyo/giji/2009/024.html
 さてさて、4月10日なんですね
1. 虚偽証言をスクープとして放送した日本テレビの報道番組『バンキシャ』
 執筆時現在の【Wikipedia】真相報道 バンキシャ!より。
 2008年11月23日の放送で、建設業者の男性が出演し、岐阜県の土木事務所が架空工事による裏金を捻出していたと証言。これについて、岐阜県が調査したところ、証言内容が虚偽だったと判断。2009年2月27日に日テレ関係者が岐阜県に対し謝罪し、2009年3月1日の放送で謝罪放送を行った。その後、岐阜県は証言した男性を岐阜県警に偽計業務妨害で告訴し、男性は2009年3月9日に逮捕された(逮捕された容疑者は「謝礼金が欲しくてやった」と供述)。さらに、責任をとる形で3月16日付で久保伸太郎社長が辞任し、3月22日の放送で社長辞任を報告した上で改めて謝罪放送を行った。また、関係者の処分については、報道局長の役職罷免と番組関係者4人対して出勤停止の処分を下した。今後、社内の調査チームやBPOの特別検証の結果が出次第、検証番組を放送する方針。
 番組の不祥事で社長が辞任という結果(というかまだ終わってないわけですが)、BPOも特別編成チームを組んで調査に当たっているこの件ですがこの会議では「中間報告」ということでこの時点での調査結果が報告されたようです。
 <主な委員の意見> * 新聞や雑誌の世界だと、半分以上が外部スタッフということはほとんどありえない。どの範囲まで制作会社に任せてしまっていいのか。 * 個人の問題にするのは簡単だ。放送倫理の問題をきちんと語ることは、単なる個人のモラルの問題じゃない。ただ、「放送局自体がコンテンツを自分ではもうほとんど作らなくて、よそに任せているという構造全体をやめろ」というような意見は間違っている。 * 番組制作をアウトソーシングするのが多くなったが、放送責任はその放送局にあるわけだから、番組内容は放送局の誰かがチェックしなければいけないし、正にシステムの問題だ。そのシステムがきちんと機能しているのかどうかということが根本だ。 * 実際には、できあがったものだけを見てチェックしろといわれても、チェックのしようがない。取材の過程からチェックを入れる仕組みがなければいけない。どの程度の裏を取ったかを確認した上でないと放送できないというルールが必要ではないか。 * 会計検査院が指摘した、机やイスを買ったという税金のむだ遣いと、いわゆる裏金を要求されたということは収賄とか汚職の話だから位相が違う問題だ。情報選択のしかたや報道の姿勢も問われなければいけない。
 おおむね同情の余地はないんですが。
2. 戦時性暴力を扱ったNHKの『ETV2001』8 年前に放送されたノンフィクション番組
 まず、担当委員から委員会決定文案が提出され、それに基づいて議論がなされた。その結果、大筋において合意が得られたので、最終的な表現の手直しについては委員長一任とし、4月中にNHKに通知して記者発表をすることにした。
 ということで出されたものがこれ
NHK教育テレビ『ETV2001シリーズ戦争をどう裁くか』 第2回「問われる戦時性暴力」に関する意見(PDF) http://www.bpo.gr.jp/kensyo/decision/001-010/005_nhk.pdf
 一応出たときに読んだんですが、個人的印象として「これはひどい」の一言でした。  この文書がひどいかどうかという話ではなく、この文書は当該番組に対してこの委員会がそれこそはてブのタグ的な「これはひどい」を突き付けただけの文書です。  この件が発覚してからネットでもいろいろな議論が行われ、その中で出てきた事実も多いんですが、この件を端的に示せそうな部分が本文ではなく資料にある委員会がNHKに送った質問への回答にありました。
 貴委員会の委員の中には、この番組をめぐる裁判の原告バウネットの書籍、『消された裁き NHK番組改変と政治介入事件』や『NHK番組改変と政治介入 女性国際戦犯法廷をめぐって何が起きたか』に、バウネットのメンバーや原告弁護団の弁護士、女性法廷の関係者らとともに執筆者として名前を連ねている方がいます。  こうした中で、中立で公正な結論を担保することについて、貴委員会はどのように考えているのでしょうか。  貴委員会の委員に自由な言論活動が保障されるべきことは当然ですが、こうした状況では第三者から結論の公平性に疑念をもたれることになりかねないのではないかと危惧します。このようなケースの取り扱いをどうするのか、検討していただきたいと思います。
 あー思いっきりこの文書にも名前を連ねてますね。誰とは言いませんが。  だから放送から8年経ってもこんなところでずっとくすぶらされてたんですね。
3. バラエティー番組の問題点について
 ……えーと先に意見から読んでみると
 <主な委員の意見> * バラエティー番組の向上を目指すといっても、大変難しいこと。何を持って向上というのだろうか。ジャンルの横断がテレビの活気を作ってきた。枠にはめてしまう方法は疑問だ。 * 事例はたくさんあるのだから、文書で出すよりもシンポジウムのような方法を検討したらどうか。シンポジウム会場がジャンル横断になるような。記録は後で出せばよい。 * まとめ方を間違えると娯楽の精神に反してしまう。 * まとめる必要はない。問題点の指摘はたくさん出るはずで、その答えは制作現場が考えるべきだ。委員会はこうすべきだというべきではない。 * 『シャボン玉ホリデー』『夢であいましょう』などが本来のバラエティーで、ウソも捏造もOKの世界。今は情報バラエティーが主流だからウソも捏造も許されない。バラエティーの意味が変わってしまった。今回は情報バラエティーに限定したらどうか。 * ボードビル系のバラエティーと情報バラエティーは根っこの部分で通じる問題がある。熟慮の足りなさ、作りこみの乏しさを地道に議論すべきだ。 * 視聴者の声を聞かないとテレビが見捨てられるという危機意識が必要だ。 * バラエティー番組を項目ごとに分類して一つ一つの問題点をクリアしていく。文字だけでなく、(映像や音声のある)マルチメディアで説明しないとこのくだらなさは分からない。バラエティー番組を素材として提起し議論する場を設定する方法がよいのではないか。
 こうした議論の結果、具体的なまとめかた、発表方法の方向性については次回以降に持ち越してさらに検討することになった。
 すみません。ようやく議論するにあたって、「個別の事案としては取り上げないが、バラエティー論の一環として他の事案と共に改めて検討することにした」でいくつの番組滞納したと思ってるんでしょうね。
 バラエティー番組全体に見られる問題点を「バラエティー論」として総括しようとする事案については、担当委員から対象になっている15番組の分類、今後の議論の進め方などについて提案がなされた。
 いくつも結論先送りにしておいて「まとめ方がわからない」「まとめなくていい」とかわけわからないんですが。  できないなら最初から一蹴すればいいのに。

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