2009年8月10日月曜日

権利侵害申立てに関する委員会決定「保育園イモ畑の行政代執行をめぐる訴え」 を読む ①番組本編

 本来なら先に出た「バンキシャ」をやるべきなんだろうけど、検証番組がもう少し先になりそうなのでとりあえず決着(?)した「サンジャポ」について先にまとめ。  どちらも誤った報道とそれに対する訂正放送の両方が焦点になっていて面白い。  今回は誤った報道本体への審議内容に焦点を絞ってまとめてみます。
報道記事
TBS「サンデー・ジャポン」倫理違反で勧告
 放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送人権委員会(堀野紀委員長)は7日、TBSテレビが昨年10月19日に放送した情報バラエティー番組「サンデー・ジャポン」に「名誉棄損の疑いが強く、重大な放送倫理違反があった」と認定、再発防止策を講じるよう同局に勧告した。  問題となった番組は、大阪府門真市内の保育園用地(野菜畑)を府が行政代執行で強制収用する様子を取り上げた際、執行当日の映像の合間に、園児が畑に並んだ前日の映像を組み込み、スタジオの出演者が誤解して「園児を利用している」という趣旨のコメントをしたもの。保育園側は「事実に反する」として、同局に訂正と謝罪放送を要求。同局は昨年11月2日、同番組終了直後に訂正放送を行ったが、保育園側は納得せず、今年3月、同委員会に申し立てを行っていた。  今回の決定を受け、TBSテレビ広報部は「勧告内容を真摯(しんし)に受けとめ、今後の番組作りに生かしたい」と話している。 (2009年8月7日19時34分 読売新聞)
TBS「サンジャポ」謝罪、BPO勧告受け
 TBSテレビの情報番組「サンデー・ジャポン」について、放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送人権委員会(堀野紀委員長)から「放送倫理違反があった」として再発防止の勧告を受けた問題で、同社は9日、同番組内で謝罪した。  青木裕子アナウンサーが経緯を説明し、「勧告を真摯に受け止め、今後の番組作りに反映させていきたいと考えています。また、こうしたことが二度と生じないよう再発防止に努めて参ります」と謝罪した。  問題となった番組は、昨年10月19日に放送した大阪府門真市内の保育園用地(野菜畑)を、府が行政代執行で強制収用する様子を取り上げたもの。「視聴者を誤解させる構成があったほか、出演者の誤った認識に基づく発言を看過した」などとして勧告を受けていた。 (2009年8月9日19時40分 読売新聞)
どんな番組だったのか
 まずはもちろん当該動画を見たいところなんですが……  ソースの動画が見つからないので、報告書から引用。
第40号 保育園イモ畑の行政代執行をめぐる訴え http://www.bpo.gr.jp/brc/decision/031-040/index.html(リンク先PDF)
 大きく分けて事件を伝えるVTR部分とそれを見てタレントたちが発言するスタジオトーク部分の2つに分かれます。 ① 「サンデージャポン」の「みなさんのためのワイドショー講習」内で流れた当該事件を伝えるVTR部分(約1分55秒)
ⅰ)映像は、背後に高速道路が通る野菜畑で、「サンデージャポン ジャーナリスト 久我雄三」とテロップで表示された人物がマイクを手に、「今週木曜日、大阪の高速道路建設をめぐってある騒動が巻き起こりました」とリポートするところから始まる。続いて、行政代執行当日の映像になり、野菜を引き抜こうとする大阪府職員と、「やめてちょうだい」などと叫びながらこれを阻止しようとする保育園の保護者らの映像が流れる。
ⅱ)続いて保育園の野菜畑に並んだ園児たちの映像が流れ、「騒動となったのは、大阪門真市にある保育園の野菜畑」とナレーションがされる。続いて、建設中の道路の高架橋や保育園の園庭、園庭で遊ぶ園児などを背景映像として、これまでの経緯がナレーションとテロップで説明される。「ことし3月、大阪府が強制収用を決定。保育園側はこれにも反対し、裁判を起こしたが、地裁で棄却され控訴。しかし、府は今月末の大阪高裁の決定を待つことなく・・・」というナレーションがあり、それにあわせ画面上に「保育園側が収用取消しを求めた裁判 大阪地裁⇒棄却 大阪高裁⇒10月末 判決予定」、「大阪高裁の決定を待たず・・・」とテロップが出されたあと、ⅲ)の映像に切り替わる。
ⅲ)「それでは、ただ今から代執行を開始いたします」と書面を読み上げる大阪府職員の映像が流れる。続いて、行政代執行に動員された職員たちの映像と「収穫まであと2週間とせまっていた今週木曜日朝、行動に踏み切った」というナレーションが流れ、同時に画面の左上に「木曜日」、中央下に「行政代執行を実施」のテロップが出される。  このあと野菜の撤去を進める職員に対して、保護者らが「やめてください」「そこだけでも残してください」などと叫んだり、野菜に覆いかぶさったりして抵抗する映像が流れる。さらに、涙ぐむ子どもの映像が出て、「泣き出す子どもたち」とナレーションとテロップが流れる。続いて申立人が「北巣本保育園 松本剛一理事」とテロップで表示されて「子どもらに申し訳がたたんです。悔しいです」と発言する映像が放送される。
ⅳ)「なぜ大阪府は収穫までのわずか2週間を待てなかったのか」というナレーションに続き、大阪府の橋下知事の会見の映像になり、「2週間遅れると、大体6億、7億の通行料の損が出てきます。なぜ2週間早くイモ掘りをしていただけなかったんだと・・・」などと発言する。最後に、野菜畑に並んで行政代執行に抗議の姿勢を示す保護者らの映像に「第8位 あと2週間待ってくれたらイーモのを・・・」というナレーションとテロップが流れ、VTR部分は終わる。
② ①を受けてのスタジオトーク部分(約2分55秒)
 司会の田中裕二が「八代さん。大阪の行政代執行の件ですけれども、あれはどういうことなんでしょうね。ちょっとわかりづらかったですけれども」と八代英輝弁護士に問いかける。八代弁護士は「行政代執行ってのが法律で規定されてまして、この行政代執行を止めるための仮処分を保育園の土地の所有者の方々がしてたわけですね。それで地裁でそれを棄却する決定が出て、それで高裁に即時抗告したんですけれども、その即時抗告にはその執行を停止する効力、仮の効力が認められていないんです。ですので、地裁の決定が出た時点で、もう行政側はいつこれを執行してもいい」などと発言する。  続いて、田中裕二は「彩菜ちゃんなんかどう思います? あのニュースは」と椿姫彩菜(つばきあやな)に聞く。椿姫は「私はVTRとか見てて一番思ったのは、やっぱ子どもが一番かわいそうですよね。あんな、ずらーと並べさせられて、絶対子どもの意思で並ぶわけないじゃないですか。だから、パフォーマンスだか何だかわからないですけれど、子どもの身になったら、やっぱり泣いちゃってたりとかして。せめて保育園側は事情があるにしろ、他の場所に移してあげるとか、せめて子ども第一に保育園なら考えてあげたかったなと思います」などと発言する。  このあと司会者とコメンテーターの間でやりとりがあり、高橋ジョージは「子どもを使ってやるってのはさ、来るのわかってるわけだから、執行妨害になっちゃうでしょ、下手すると」などと発言する。  スタジオトークはその後、中尾彬の「だんだんこれで知事が人気がなくなってくるんだよ、こういうことで、どんどん広まっていっちゃう」、太田光の「確かに橋下さん、やな奴ですよね」などの発言の後、いくつかの冗談っぽいやりとりがあって、田中裕二の「違います。キツネトーク止めてください」の発言で終わる。
 局が違うのであくまで参考にしかなりませんが、当時の映像。
制作者は何を間違えたのか。
 申立人の申立て内容によると…… ① 行政代執行の当日に保育園が園児たちを現場に動員し並ばせたようなVTR。
 行政代執行の当日、保育園が園児たちを現場に動員し並ばせた事実はない。にもかかわらずコメンテーターは、あたかも行政代執行当日、保育園が現場に園児たちを動員し並ばせたという前提で発言し、番組は進行している。この発言の根拠になっている映像は、行政代執行の前日に保育園が記者会見を開いた際に大阪の毎日放送(MBS)が撮影したものである。この映像に行政代執行当日の映像を重ねた極めて悪質な捏造である。
② 代執行の原因になっている高速道路用土地の収用裁決代執行差し止めの申し立ての混同。
 また映像部分で「収用裁決の取消しを求めた訴訟が10月1日に棄却された」と放送したが、代執行のもとになっている収用裁決の取消しを求める裁判は大阪地裁で係争中であって、敗訴判決を受けていたわけではない。却下されたのはその付随裁判である執行停止の申立てであって、それも高裁に即時抗告をしていて執行停止が認められる可能性もあった。
 そして申立人は
ⅰ)具体的な事実誤認とコメンテーターの誤った発言にふれた訂正放送。名誉毀損を起こした具体的な内容にふれた謝罪放送。 ⅱ)再発防止策、検証番組の制作と放送。 ⅲ)文書による謝罪、ホームページでの謝罪。
 を求めます。
委員会の動き① 事実の認定
 VTR部分について
  VTR部分は行政代執行前日に取材した部分と、代執行当日の部分から構成されているにもかかわらず、日付(曜日)のテロップが後段の代執行当日の状況を撮影した部分にしか表示されず、前日に園児たちを撮影していた部分には入っていなかった。そのために、視聴者に対し前日と当日の映像を同じ日のものと誤解させる可能性を生じた。
 さらに、園児の泣き顔の映像についても、申立人によると、代執行当日にたまたま通園してきた園児2人が現場の混乱にショックを受けた様子が撮影されたものであることがうかがわれる。しかしながら、VTRでは「泣き出すこどもたち」とのナレーションとテロップが流され、これが上記の映像編集のずさんさも関係して、全体としてあたかも野菜畑に並んでいた園児が泣き出したかのような印象を与えるものになった。また、申立人によれば泣いた園児は一人であるのに、「たち」との表現を用いたこともそのような印象を強めている。
 なお、混同があった点はTBS側も認めているところである。また、その過程において、制作者が自ら事実の確認をしないばかりか取材当事者である毎日放送に確認することもせず、インターネット上の情報などを参考にナレーションを書き換えていたことも判明した(TBSの答弁書ほか)。これらは、取材・報道にあたって制作者が守るべき基本的態度として、初歩的な問題があることは明らかである。言い換えれば、ニュースの扱いに関して制作現場が十分な注意を払っていないことのあらわれであって、ニュースを編集・発信しているという自覚が欠如しているといわざるを得ない。
 VTRの編集については園児のことも法的な流れの誤りもTBSも「争うものではない」と全面的に認めています。  スタジオトーク部分について
 主にコメンテーターの2人が明らかに事実誤認に基づいて、コメントをしていることが認められる。具体的には、椿姫彩菜と高橋ジョ-ジは上記(1)①で指摘したように、代執行前日に撮影された園児の映像が、代執行当日に撮影されたものであるとの誤った認識に基づき、申立人に対して、「園児を利用している」という趣旨の断定的なコメントをしていることが認められる。
 結果としては、放送中に当該コメントを訂正するような発言は出演者からも制作担当者からも一切なかった。したがって、上記2人の発言によって、視聴者が、行政代執行当日に保育園が園児を野菜畑に並ばせたことを「事実」として受け止めたであろうことは否定できない。
  道路建設に関連し行政代執行があったこと、その道路建設に強く反対しているのが土地の収用対象者でもある申立人ら保育園関係者であること、今回の行政代執行の対象は保育園の野菜畑であり収穫が間近であったことに関しては、コメンテーターの認識に誤りは認められない。しかし、本件放送に関して当委員会が問題視するのは、当該事案に関する本件放送中の一連の「報道」を通じて視聴者が受けた一般的印象にほかならない。そして一般視聴者は、司法判断が出たにもかかわらずそれに従おうとせず、実力阻止をしようとしている保育園およびその実質的な経営者である申立人が、行政代執行に対する「楯」として園児を利用した――との事実に反した印象を受けたであろうことを、当委員会としては重視した。
 そのほか、VTR部分の2つの裁判を混同したナレーションを前提にした場合、八代英輝弁護士のコメントについても問題があると判断する。同コメントは、執行停止の申立てを「仮処分」と表現した部分を除き、発言自体に誤りはなく、行政代執行そのものが違法ではないことを述べた点においても間違いはない。しかしながら、本体である収用裁決取消しの裁判がまだ審理中であったことを考えれば、そのことに触れなかったことによって結果として、VTR部分での、司法判断が出ているもかかわらず申立人がごねていると受け取られるナレーションの誤りによって生じた視聴者の誤解を正すことなく、放置することとなったと思われる。
 スタジオトーク部分に対して委員会は
 ・前日そして当日の打ち合わせでVTRを見せて事実関係をコメンテーターに正しく認識させるべきだった。  ・スタッフはVTRの内容を受けたコメントが誤解であることに気づいていながら放送中にそれに気づいたり、指摘することができなかった。
 と指摘しています。
委員会の動き② 委員会決定
 中身は2つ。1つはもちろんこの番組自体が放送倫理に違反していないかどうかですが、これは疑いようもなく
 本件放送には、個人の名誉にかかわる重大な放送倫理違反があったと結論する。
 としています。ですが……
 ただし一方で、本決定は、本件放送の編集上及び制作過程上の基本的なミスにより申立人の名誉感情を侵害したことについて、TBSに重大な放送倫理違反があるとしつつ、名誉毀損があったとまでは断定しないこととした。その理由を以下に述べる。
 重大な放送倫理違反だとは判断しても申立人の「名誉毀損」とまでは断定できない……とするそうです。
  本件は、前日の取材で撮影した園児たちの映像をあたかも当日、現場に立ち合わせ、申立人が園児たちを「楯」にして代執行を妨害しようとしたかのように描き出されたところに本質的な問題があるものの、前日の記者会見から放送に至るまでの経緯において、このような形で利用されることには思いも及ばなかったであろうが、代執行の状況とともに資料映像か何かの形で編集に組み込まれる可能性が予測できる状況下で撮影を許可したことを考慮する必要がある。また、本件放送が全体として何を伝えようとしたのか必ずしも明確ではないが、Ⅰ、2「放送内容の概要」で記したように、VTR部分の最後で「あと2週間待ってくれればイーモのを」とのナレーションとテロップが見られ、さらにスタジオトーク部分においても申立人を非難するかのような前述のコメンテーター2人の発言のほかに、同じ誤った事実認識に立ちながらも大阪府による代執行の強引さを指摘する発言もみられる。このことからすれば視聴者が受ける印象としては、必ずしも本件放送が申立人および保育園側を一方的に悪者にしたとは言い切れない面があることも否定できない。 当委員会はそのような事情を総合的に勘案した結果、重大な放送倫理違反があったこと、名誉毀損の疑いが強いことを指摘するが、あえて名誉毀損があったとまでは断定しないこととした。
 ・「園児を並べて前日に取材を受けた」申立人にはその映像がこんな形で使われることを想像はできなくても別の番組で資料として使われることを予測して園児の撮影を許可したから。  →これって暗に「申立人も園児の動画を撮らせることに何かしらの思惑があった」って言ってるみたいなもの? 実際当時はそんな流れもあったけど  ・スタジオトークでは申立人への批判だけでなく府知事を批判をするコメントもあったので一方的に名誉を毀損されたとは言えない。  →中尾彬や爆笑太田のことを指すらしい。これまでの議事概要を読んだ経験としてはどんなに極端であろうとバランスさえとってあればBPO的に問題ないようだ。  結論から言えば、BPOの放送倫理委員会に「名誉毀損」を云々できるのはちょっと疑問です。BPOがひどい組織とかそういう意味以前に「名誉毀損」はBPOが扱う範疇じゃないと思うからです。  BPOは裁判所のような司法の組織でもない。政府とは一線を画した民間の組織である上に、放送業界内の出来事に対してだけ、その権利を行使できるに過ぎず、役割上放送局に対して番組が「放送倫理に違反している」と認定することはできても「この番組で誰かの名誉を毀損した」という本来裁判所が認定すべきことは、裁判所でない以上原理的に不可能なはずです。言うだけならタダですが。  おまけに……
 申立人が名誉権の侵害を訴え、本決定において申立人の社会的評価の低下を認める以上、本件放送が「苦情の取り扱い基準」について当委員会運営規則第5条1(1)に規定する「名誉、信用…等の権利侵害」に当たるかどうかについての検討を要する。すなわち、重大な放送倫理上の問題があるにしても、法律上違法な権利侵害という程度にまで達しているかどうかという問題である。 いうまでもなく当委員会は、報道被害の迅速な解決を目指す自主的第三者機関であって、裁判所とは異なり、証拠に基づいて厳密に違法性の存在、強度を判定して権利侵害の有無、責任の程度を判断して損害賠償や回復措置を強制する場ではない。しかし、だれの目にも明らかな権利侵害があると認められるような場合には違法な名誉毀損があるという結論を出すことを妨げられるものではなく、また臆することがあってはならないと考える。
 「証拠に基づいて厳密に違法性の存在、強度を判定して権利侵害の有無、責任の程度を判断して損害賠償や回復措置を強制する場ではない」って自分で言ってるくらいなんだから、ここで「名誉毀損」のお墨付き貰って裁判しても勝てる保証はどこにもないし確実に勝てる内容なら最初から裁判所に行った方がマシだと思うんですが。  ※ 理由は以前にも推測したんですが、それなりの費用がかかる訴訟と異なり、BPOへの申し立ては条件さえ整えば原則無料というのがあります。  実際「違法な名誉毀損がある」という結論を臆することなく出したとしても賠償やそれに準ずる何かを要求するならやはり裁判所に行かないといけません。それなら最初からTBSを提訴すべきです(出版社には週刊誌報道などで山ほどありますが、放送局が提訴された例ってあるのかな。もしかして法律でできないのかな)  もちろん業界内では発言力を持って言う言葉なので全く意味がないわけではないんですが、現状、謝罪や検証はさせても番組や放送局を止めるほどの力は持ちません。  ※ 最近あったサンテレビの例でも、打ち切りを決定したのはサンテレビであり、BPOへの返答・審議入りを回避するための措置っぽい。  BPOは放送局の表現の自由と自主自律が至上命題なので行政や国会議員の介入をとことん嫌う傾向がありますが、行政同様に司法も嫌っているようです。これは司法と報道の歴史や何より国の組織自体が報道媒体の重要なネタ元の1つだったりすることも関係するのかもしれません。  それでもBPOが代わりに放送局を訴えて賠償金取ってきてくれるならそれはそれで頼もしいけどそれすら現状では困難です。なぜならBPOの運営資金はほぼ全部放送局が出してるからです。普通、資金源を相手に訴訟はできませんし、仮にできてもBPOは勝っても負けても苦しむことになるわけで。  ※BPOについて
 機構の運営を維持するために、NHK、民放連、民放各社が会費を毎年拠出しています。
 ※民法第723条
 (名誉毀損における原状回復) 第723条  他人の名誉を毀損した者に対しては、裁判所は、被害者の請求により、損害賠償に代えて、又は損害賠償とともに、名誉を回復するのに適当な処分を命ずることができる。
 それこそ国ごと変わらないとBPOは「放送裁判所」にはなれません。そんなものはあってほしくないですが、今回のようなことがある以上、番組や現場の検証や議論の結果がもっと細かく公開できる組織になるためにやはり公的な部分が必要じゃないかなと思う今日この頃です。
番外:気になったとこ ① コメンテーターって責任あるの?ないの?  責任の有無についての記述は一切ないのだけれど、コメントした3人の名前(八代弁護士・椿姫彩菜・高橋ジョージ)を出して「コメントが誤解を与えた」と言ってるわりには、制作者側は(報告書では)匿名。  3人は事前に打ち合わせも説明もなく初見のあからさまに歪曲されたVTRにミスリードされてコメントを述べさせられたともいえるわけで、番組内では自分の発言の誤りに気づくことはまずできないのに一緒に責任を追う「共犯」であるかのような書き方はどうなんだろう? むしろこの3人はミスリードさせられた発言でBPO的に名誉毀損させられたことにならないのかな? ② 「みなさんのためのワイドショー講習」独特の編集環境  私自身は前身の「お父さんのためのワイドショー講座」しか知らないんだけど、これはここ1週間のワイドショーの動画をかき集めて作ってるわけで、厳密に素材の管理ができてないとこんなミスリードを起こしかねないVTRが毎週できてしまうような。  スタンスとか切り口という面では面白いんだけど毎週間に合わせで作っているとしたらこういうことはしょっちゅう起こるような気がする。 ③ 検証番組制作にはならなかった「バンキシャ」との違い  悪質性という面でも十分なのかもしれないけど、一番決定的なのは申立人も要求しているものの「本当に検証」されたら困るんじゃないのかな?と邪推してしまったよw

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