2011年12月23日金曜日

あの「年通算5回の不健全図書指定で……」の中身が新条例でどうなった?という件

 今月の諮問図書の資料見てたときに「妙に累積が増えてるなぁ……」と思って、そういえば変わったというウワサがあったなぁ……と。

とりあえず先月のと比べてみた。

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2011年11月(第617回)

2011年12月(第618回)

 旧資料では「過去一年間の指定実績」になっているのに対して、現在の資料は「当該発行所の発行する図書類の指定回数(本年4月以降)」となってます。

新条例に「帯紙措置」が組み込まれた?

 「年通算5回の不健全図書指定で……」の元になった記事を書いた当時、その先にある「帯紙措置」はあくまでも出版・取次業界による自主規制でした。
 しかし、新条例では「知事が自主規制団体に対して勧告できる措置」として以下の条文があります。

第9条の3
 知事は、指定図書類のうち定期的に刊行されるものについて、当該指定の日以後直近の時期に発行されるものから表示図書類とするように自主規制団体又は図書類発行業者に勧告することができる。
2 知事は、図書類発行業者であつて、その発行する図書類が第8条第1項第1号又は第2号の規定による指定(以下この条において「不健全指定」という。)を受けた日から起算して過去1年間にこの項の規定による勧告を受けていない場合にあつては当該過去1年間に、過去1年間にこの項の規定による勧告を受けている場合にあつては当該勧告を受けた日(当該勧告を受けた日が2以上あるときは、最後に当該勧告を受けた日)の翌日までの間に、不健全指定を6回受けたもの又はその属する自主規制団体に対し、必要な措置をとるべきことを勧告することができる。
3 知事は、前項の勧告を受けた図書類発行業者の発行する図書類が、同項の勧告を行つた日の翌日から起算して6月以内に不健全指定を受けた場合は、その旨を公表することができる。
4 知事は、前項の規定による公表をしようとする場合は、第2項の勧告を受けた者に対し、意見を述べ、証拠を提示する機会を与えなければならない。

 ① 指定対象は本だが、累積回数は図書類発行業者(要するに出版社)に付与。
 前記事のようなアンソロのタイトルを変えて累積回数をリセットする姑息な手段(今まで通用していたほうがおかしいと思う)が不可に。
 しかしこれでは本に対して発動する「帯紙措置」はどうなってしまうのだろうか……
 でももともと単行本には発動しようがないんだよな。これ。

 ② 「年通算5回の自主規制」から「年通算6回の都による勧告」に。
 出版・取次業界による自主規制ではなく都による勧告であることが明記されています。
 「帯紙措置」はどうなったんだー?

 ③ 「必要な措置」ってなんだろう?
 当然のことながら出版や発行を禁止するようなことを直接言うことは不可能なはずなんですよね……
 結果として自主規制団体が該当出版社に対して自主的に累積が消えるまで(1年間?)出版を止めるようにするかもしれないけど。出版倫理協議会あたりなんかすでに都の犬(ロリ規制先導した件とか)化してるし。
 これは発動してみるまでわからないかもなぁ……

で、議事録待ちだったんです

 第618回東京都青少年健全育成審議会議事録
 http://www.seisyounen-chian.metro.tokyo.jp/seisyounen/pdf/09_singi/618/618gijiroku.pdf

 ということで、今月いきなり変わったならきっと説明があるだろうなと思い、議事録を待ってみた次第。

青少年課長
 3段目の欄でございますけれども、ここはわかりやすく記載をさせていただきました。
 条例上、同一の出版社から過去1年に6回指定を受けると、その出版社等に対して都が勧告をすることができるという規定が条例改正で入りました。この4月からということになりますけれども、オークスは過去に指定はございません。ジュネット社は2回ございます。双葉社は3回指定されております。リイド社も2回指定されております。

 とりあえず①に関しては裏が取れたと思ってよさそう。

しかし、回避はできる?

 この12月の指定図書のひとつ、「肉体派ガチ! VOL.1 特集「戦うおっさん」」はオークスから出てますが、4月に指定された「肉体派 vol.19 極!! エロ」というAQUABOYSというオークラ出版のレーベルから出ている本がなぜか同じページに存在します。

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 オークラ出版はすでにこの「肉体派 vol.19 極!! エロ」で4月に指定を受けたんですが、オークスで指定を受けた今回は無傷だったと言うことになります。
 4月からカウントが始まっているということに関しては双葉社が同時に指定を受けていてそれを含めると今回の12月の資料の累積数も合致するのでほぼ間違いないと思います。

 続刊している本を途中から出版社を切り替えると言うのは以前の「ガールズポップコレクションシリーズ」に比べればかなりの大技ではないかと思いますが、実際にこうして累積を免れた例が存在すると言うことで。

では現在の累積は?

 1枚1枚見ていたら面倒なので平成23年度における条例の適用状況を参照。

累計数 出版社
4回

双葉社

3回

リイド社、ジュネット

2回

竹書房、辰巳出版、秋水社、海王社

1回

オークス、オークラ出版、サニー出版、サン出版、ユース社、リブレ出版、一水社、笠倉出版社、曙出版、蒼竜社、宙出版

 双葉社はあと3回の審議を残してあと2回という……意外と厳しいカウントになってるなぁ。

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