2012年3月3日土曜日

第620回東京都青少年健全育成審議会議事録の読み方について

結論:読み方は人それぞれだけど、読むなら「原本」から読んだ方がいいよね

 この間のエントリが意外と反響があったようで、いろんな反応見られるんですがどうもこの審議会自体の見方が違う気がしたのでいくつかえふすく的な観点を述べておこうかなと思います。

反応①:こんな感情的な言葉を吐く審議会があっていいのか?→いいと思いますが、何か?

 明らかに法を逸脱する手法を記述した本を前にして「存在していいのか」「販売中止に追い込みたい」「店頭から消えてほしい」と「良識ある市民」が思うのは当然なわけで。
 そもそも「青少年にとって不健全な図書であるか」というきわめて主観的な尺度で図書を審議しようという審議会ですから委員の主観的な意見が飛び交うのはある意味当たり前なんです。よく規制反対派が主張する「統計的な」「科学的な」根拠はそれすらも委員個人の主観的な判断基準でしかないんです。
 (もちろん図書を対象に審議する以上「こんな本を読むヤツは頭がおかしい」とか「こんな本を出す出版社や作家は消えてほしい」とかいう明らかに対象を間違えた発言は非難されてしかるべきでしょうけど)
 ただ今回頭に血が上ったのかどうかは知りませんが、それを答申に反映しようとしたがゆえに「それは判例・法令・条例的にできませんよ」と青少年課長が窘めたのにもかかわらず止まらなかった恥ずかしい委員さんがいたということだったわけです。でもそれも議事録という文書の中でこの審議会でできることとできないことをはっきり名言するきっかけになったという意味では成果とも言えましょう。だから「こんな委員は外してしまえ」というのもちょっと乱暴。
 今回のケースはいつもの審議がほぼ意見もなく「全件(不健全)指定でお願いします」となる中で珍しく議論が伯仲したエキサイティングな回だった、審議会として最低限の審議会らしい議論が尽くされたと言える中身だったな、というのが個人的な感想。

反応②:公務員(警官)の名誉を毀損する作品が狙われる?→さぁ、はたしてどうなんでしょう?

 ハリウッド映画とかに「警官を無下に扱っちゃいけない」みたいなルールがあったような話を聞いたことがありますが、調べてみても根拠がありませんでした。
 都民からの通報申出にあった「未来日記」の「中学生が警察官を射殺して、逮捕もされずに無罪放免されているというような内容」のお話。これ結局申出した都民の脳内で「そんなものは犯罪を助長する、肯定する」とされてるわけで別にそれを都が認定してるわけでもない。BPOには通報しているものの、これは東京都としては管轄外の認定をされたと考えたほうがいい。
 青少年課長は「実際、当該場面を確認いたしましたが、犯罪を助長するというところまでには至らないのではないかと判断をした」と言ってるわけで、何かが問題になった形跡はないんです。青少年課長がアニメ見てその健全性を判断して処理しちゃったこと自体についてはそれいいのか?という感じはしますが。

結論②:なんとなく違うのは自分が審議会議事録読みすぎだからかもしれない

 だからといって暗記してるわけでもない、すべて読んでるわけでもないけれど。
 何よりも議事録読むの楽しいとかわけのわかんない領域にいるので、ネタ元として審議会を大事にしちゃう面があるのかもしれない。
 だから本来この議事録の中身に注目してるはずのもっと表現規制やら青少年育成に関心のある人の解説が読みたいけど、実際には都条例のまとめサイトでも触れられないし、その他でも更新されて上がったことはともかくそれを個々に論じたサイトというのを見受けられない(私も当初はそこにスキマ的興味を感じて始めたわけですが)という不思議な状況があるので、定点観測的なサイトの新規参入を期待しています(あるなら教えてください)


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